毛無山より富士山を望む


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01

2017

DIYINHK ES90x8PROリファレンス基板

ES90x8PROリファレンス基板で音出しテスト


ES9028PRO DAC board
基板の表面?には抵抗、コンデンサ、OPアンプなどのスルーホール部品を実装

ES9028PRO DAC board
基板の裏面には主に表面実装部品を実装することにする


先日、DIYINHKからES9018S用のリファレンス基板(基板のみの頒布)がリニューアルされてES9028PRO/ES9038PROにも対応可能となった.まだ手元に未使用のES9038PROチップが余っているので、この基板を2枚程購入してみた.


前の記事で紹介した、DIYINHKのES9038PROキットはI/V変換(電圧変換モード?)用のOPA1688やローパスフィルターなどの回路が組み込まれてしまっており、ユーザが自由に変更できる部分は最終段の差動出力変換OPアンプくらいしかなかった.


今回のこの基板は、基板のサイズが 100mm x 100mm と余裕を持たせた作りとなっており、単純な二層基板でスルーホール部品と表面実装チップ部品の両方に対応できるように作られている.従って、ユーザが自分の好みの抵抗やコンデンサを実装することが可能だ.また、使用するOPアンプもI/V変換用に4個、差動信号合成用に2個の合計6個のシングル構成OPアンプ(DIP8pin対応)を自由に選ぶことが可能だ.


但し、DIYINHKの基板なのでユーザに対する説明はホームページでの簡単な解説と基板に印刷された僅かな文字だけなので、このボードを使用するにはそれなりの覚悟が必要だ.逆に言うと、その分ユーザのカスタマイズが自由に行えるという事なので、自分で回路を設計して基板を興す迄行かなくても、抵抗やコンデンサ、OPアンプなどを変えていじくり廻してみたいとういう人には打って付けの基板だ.


この基板は、DIYINHKのホームページの説明にあるように、従来のES9018Sと新しいES9028PROで使用することを前提に設計してある.ES9038PROでの使用に関してはDAC廻りの基板配線パターンやピンの割り当て方法などが同じ(ES9028PROとES9038PROの中身はほぼ同じ物)なので、両方に対応可能なのだが、ES9038PROの場合はかなり制約が多いので注意が必要だ.


ES9038PROを使う場合の注意点として、


 ・I/V変換用の抵抗(R1, R2, R3, R4)の値を基板に書かれている数値の1/4にする

 この基板では8組のDAC出力電流を4セットずつ束ねて2チャネルのステレオ信号を作成している.ES9028PROの場合は8組のDAC出力の内、1組だけを有効としているので、DAC出力電流はES9038PROの1/4ということになる.ES9028PROを基準にI/V変換用の抵抗値が設定されているので、ES9038PROでは過大な出力電圧となってしまう.従ってI/V変換抵抗の値を1/4にして調整する必要がある.また、この抵抗には大電流(最大で70mA近く流れる)となるため、ワット数の選定を間違えないようにしないといけない.70mAでは 単純に計算しても 0.07 x 0.07 x 510 / 4 = 0.625 [ W ] となり、1Wクラスの抵抗が必要となる.



 ・一般的なオーディオ用OPアンプはI/V変換用に用いることができない

 一般的なオーディオ用のOPアンプでは、数mA〜数十mA程度しか電流を流し込むことができないので、この基板のように1チャンネルで4パラレル出力合成すると完全な電流オーバー状態となり、OPアンプがオーバーヒートしてしまう.I/V変換回路を高耐入力なディスクリート回路で組むか、OPアンプとバッファアンプを組み合わせるなどの工夫が必要だ.


Texus Instruments社のホームページでオーディオ用のOPアンプで電流出力の大きそうな物が幾つかピックアップされたページがあったので、参考にすると良いだろう.

 ・OPA1688  2回路入り SOIC CMOS   出力電流:75mA
 ・OPA1612  2回路入り SOIC Bipolar 出力電流:55mA
 ・OPA1622  2回路入り VSON Bipolar 出力電流:145mA


OPA1688では75mA、OPA1622で145mAとなっているので、ES9038PROを使用する場合はこれらの高電流出力タイプのOPアンプをI/V変換に用いることができそうだ.



とりあえず手持ちのパーツで実装して音出しテストをしてみた


今回は基板の概要を把握するため、手元に有ったそれなりに高音質そうな部品で組み立ててみた.本当はES9028PROで組み立ててみたかったのだが、手元にはES9038PROしかないので、回路に無理が有るのは承知で今回はES9038PROで我慢???することとする.


OPアンプは飛ばしても良いように安いJRCのNE5534セカンドソース品を使った.音出しが上手く行ったら好みのOPアンプに変更する予定だが、この基板ではOPアンプが6個も必要になるので、OP627/OP637やMUSE0xのような高価な物は多分載ることは無いだろう.個人的にはNE5534でも十分かな…


勿論、NE5534ではES9038PROの4パラ合成出力電流に耐えきれないので、今回はNE5534の後段に専用のバッファアンプを置くことにした.この手のバッファアンプとしてはLME49600や バーブラウン(現T.I.)のBUF634 などがポピュラーで、ヘッドフォンアンプの出力段としてこのバッファアンプが良く使われているので、比較的入手し易いだろう.但し、バッファアンプという余計な物が音質を左右する重要な箇所に加わることになるので、音質面でどのような影響が出るのか不安な所だ.



BUF634 250 mA 高速バッファ 

block diagram
一般的なOPアンプの後段にBUF634を配置して出力電流を稼ぐことが可能


スルーホール部品
それなりに高音質部品(WIMAフィルムコンデンサ、音響用抵抗など)を使ってみた

表面実装パーツ類
水晶発振器にはCRYSTEK CVHD-950(100MHz)を使用
(綿棒の綿が基板上に残っているのはご愛敬ということで...)


基板上のI/V変換用OPアンプの実装場所はDIP 8pin タイプのソケット1個分のスペースしかなく、廻りにWIMAコンデンサ(1.0uF)が林立しているので、BUF634を実装する場所などない.仕方が無いので、DIPソケットの上に下駄を履かせて、8Pin DIPソケットを2個並べて無理矢理押し込んだ.勿論音質的には良い筈はないが背に腹は代えられないということで...



NE5534 & BUF634
NE5534の後段にBUF634を配置した物を8pin DIPソケットに無理矢理載せた

テスト基板完成
テスト用基板1号機完成

音出しテスト中
早速音出しテスト(一発できちんと音が出てくれた!!!)

やはりこの基板に関してはES9028PROで使うのが無難だ.