鳳凰三山尾根より白根三山を望む


Date/Time: 2013:09:29 08:31:16
Camera: Panasonic
Model: DMC-LX2
Exporsure Time: 1/320
FNumber: 5.6
Aperture Value: 5.0
Focal Length: 6.3

Close

y2blog » Pioneer N-50 ネットワークオーディオプレイヤーを入手

12

04

2022

Pioneer N-50 ネットワークオーディオプレイヤーを入手

Pioneer N-50 のジャンク品を入手


Pioneer N-50
ネットワークオーディオプレイヤー Pioneer N-50

自作のネットワークオーディオ機器類のケースを作り直そうと思っているが、マルチチャネルオーディオ用に組むとなるとそれなりの大きさのケースが必要で、タカチのHYシリーズなどのヒートシンクタイプのアルミケースが候補に浮かぶが.フルサイズ(W: 430mm)のケースとなると2〜3万円の出費は覚悟しなければならない.


ケースだけの値段で数万円も掛けるのは勿体ないので、既成品のオーディオ機器を安く入手し、そのケースを流用することにした.ネットワークオーディオ用ケースとして流用し易そうなジャンク品のオーディオ機器をヤフオクで探していたら、Pioneerのネットワークオーディオプレイヤー N-50 が眼に留まった.


N-50は元々ネットワークオーディオプレイヤーとして販売されていた製品なので、フロントパネルには小型の液晶ディスプレイとプレイボタンやストップボタンなどのシンプルな操作ボタンのみのシンプルな構成になっている.


N-50の操作は基本的には専用リモコンやアプリで行うように設計されているためか、本体のみでの操作は基本的に想定していない作りだ.今でもアプリが入手できるのかどうか不明だが、日本のメーカが作った物なので殆ど期待しない方が良いだろう.


この製品の機能や音質、操作性に関しては今回の目的から外れるので、とりあえずオーディオ機器としての見た目や内部の弄りやすさについて見て行くことにする.


見た目に関してはそれなりのオーディオメーカの製品なので、フロントパネルがシンプルですっきりしていて、ネットワークプレイヤーとしてオーディオラックに設置するには持ってこいの製品だ.


今回の商品はフロントパネル上部に若干傷が有ることと専用リモコンが付属していないのでジャンク扱いとして出品されていたようだが、本体の動作は問題ないということだった.


汎用のオーディオケースとしての使い勝手は問題ありそうだが、見た目の良さからN-50を入手することにした



再生テスト
ミュージックサーバのPCM音源(96KHz/24bit)を再生中

Up-Sampling
32bit補間処理機能が備わっている模様


私自身はメーカ製のネットワークオーディオ機器は導入した事がないので、果たしてお金を出してまで購入するような製品だったのかどうか気になるので、先ずはN-50がどんな感じで動作するのか簡単な音出しテストをしてみることにした.


我が家のネットワークは普通の家庭とはかなり異なる複雑なネットワーク構成となっているが、ネットワークオーディオ専用のVLAN(ネットワークを論理的に分割する仕組み)を作成して、ネットワークオーディオ専用の環境を構築してある.


N-50をネットワークオーディオ専用のLANにつなぎ、先ずはミュージックサーバの音源を再生してみることにする.電源を投入してから音が出せるようになるまで結構時間がかかるが、オーディオLANセグメントに設置されているSynology NASや自作のMinimServerなどが再生ソース候補として液晶画面に表示された.


フロントパネルの操作ボタンだけでの操作となるので、CDに換算して何百枚もあるライブラリの中からお目当てのソースに辿り着くには、気の遠くなるようなかったるい操作が必要だ.


この操作方法で音楽を再生する場合は、アルバム1枚をUSBスティックメモリに入れて、フロントパネルのUSB端子に挿して再生する事ぐらいだろう.ユーザインタフェースとしては全く話にならない.


とりあえずライブラリの中からPCM系の96KHz/24bitの音源を再生することができることを確認した.


肝心の音質はというと、まあメーカ品の廉価製品(当時の販売額で8万円程度)の音としては普通だろうか.メインのネットワークオーディオプレイヤーとしては到底使う気にはならないが、AirPlay再生が可能なのでPCやスマートフォンなどから簡単に音出しが可能だ.Hi-Fiオーディオには向いていないが、BGM的な再生用として使う分には十分な音質だろう.


今回のN-50はPioneerのネットワークオーディオプレイヤーシリーズ(N-30/N-50/N-70)としてはミドルクラスの製品で、N-30の基本構成にアナログ用の別電源トランスを追加し、シャーシの底面に鉄の板で重量補強されていることと、USB入力、SPDIF入力端子が追加されているのが違いだろうか.


この上のクラスのN-70は電源トランスやケースの構造そのものが大きく異なっており、DACやアナログ出力回路がバランス仕様になっていて、お値段もN-50の2倍はする全くグレードのことなる製品だ.


N-50の内部構造を確認してみる


ネットワークオーディオプレイヤーとしての位置付けはさておいて、今回の主目的である自作オーディオ用のケースとして流用可能かどうか、問題の中身を確認してみることにする.



N-50 の内部
N-50の内部

Back Panel
バックパネルの各種コネクター類は基板と直結なので他の用途には流用し難いだろう

Digital I/O Connetion Parts
デジタル信号系のコネクタはメインボードに直付けされている


N-50の内部は大きく3つのパートに分かれていて、向かって左側部分がデジタル用の電源トランスと電源制御基板、真ん中の基板部分がデジタル信号処理回路、右側部分がアナログ回路用電源トランスとアナログ電源&DAC基板となっている.レイアウトもシンプルで、スペース的にも改造し易い構造となっている.N-50に関しては内部のケーブルがふらつかないようにしっかり固定しており、防振対策にはそれなりに気を配っているようだ.


一寸残念なのが、バックパネルの各種コネクタ類が基板直結タイプとなっていることで、イーサネットコネクタやUSBコネクタを流用するのがかなり面倒な作業が強いられそうだ.



Analog Main Board
メインのアナログ基板の表側は電源回路とアナログフィルター回路というシンプルな構成

アナログ基板裏側
基板の裏側にはDACチップとアナログ出力用のOPアンプ、ミュート回路などの表面実装部品が配置されている

DACチップとアナログ出力OPアンプ
DACチップは AK4480、アナログ出力は安価な4580オペアンプが使われている

DAC I/F
DACチップへのデジタルオーディオ信号は汎用的なI2S形式が使われている模様

上記の写真からも判るように、DACを含めたアナログ系のパーツ構成はかなり安っぽく、音質にはあまり気が遣われていないように見受けられる.このアナログ系の基板部分を別なパーツで置き換えるだけでもそれなりの音質アップが図れそうだ.幸いなことにデジタル基板から出力されるDAC信号は単純なI2S信号のようなので、組み合わせることが可能なDACチップはかなり自由に選択できそうだ.


デジタル信号系の基板はかなり複雑な処理を行っているようで、デジタル入出力、ネットワーク制御、液晶ディスプレイ制御やデジタル信号処理などが専用のチップやファームウェアで制御されており、この部分に手を付けることは難しいだろう.


Pioneerのホームページにはまだファームウェアアップデートの情報が載っていたので、最後のファームウェアバージョンをダウンロードできたのは良いのだが、ファームウェアのアップデート機能は専用リモコンから操作しなければ使えないようになっていた.


専用リモコンは手元にないので、PioneerがiPhone/iPad/Android向けに出している、”Pioneer Remote App” というアプリを使って本体のファームウェアアップデートができないものかと試して見たが、ネットワーク上のN-50を全く認識してくれない.有線LANに割り振られたIPアドレスを直接”Pioneer Remote App” に打ち込んで見ても何も反応しなかった.N-50はこのアプリの対象外なのだろうか.


まあ、ダメダメ製品ということは最初から予想はしていたが、こんな使い勝手の悪い製品ではネットワークオーディオ 製品が一般に全く普及しなかったのも頷ける.ネットワークオーディオ機能は現在ではAVアンプのおまけ機能に取って代わられてしまい、今後も一般に普及することはないだろう.


現時点ではN-50(ケース)をどのように使うかはまだ決めかねているが、とりあえずアナログ基板部分を取っ払って代わりに自作のDAC、I/V変換基板に載せ替えて音質アップを謀ってみようと思う.


アナログ系の音質向上は簡単にできそうだが、問題はデジタル系の操作性の向上だろう.この部分は完全にブラックボックスなので手の出しようがない.せめてOpenHomeに対応してくれていれば、Kazooなどの汎用的なアプリから操作できるので、本体側の操作性が最悪でも何とかなりそうなのだが...


やはり当初の予定通り、ちょっと高級そうな自作用オーディオケースとしての使い道しかなさそうだ...


Modifing the analog board
N-50の内部構造はシンプルなので、アナログ部分の改造は簡単に行えそうだ

USB IF I/O Rate
USB Interface(Audio Class)が備わっているので、USB-DAC代わりとしても活用可能だ

AirPlay2 mode
AirPlay経由での再生も可能なので、MacやiPhone/iPadなどから簡単に接続して再生することが可能

DMR
iPadの”fidata Music App”から再生するとDMRと表示される (DMRは何の略???)





結局N-50は只のオーディオ機器ケースとして活用することに...


N-50のデジタル処理系回路と電源回路を何とか活用できない物かと色々と試行錯誤していたが、デジタル部分は完全なブラックボックスで弄りようがないので諦めるとして、せめて電源基板部分だけでも活かすことを検討したが、電源基板の改造を行っている内に基板がボロボロになってしまったので、電源部分も結局廃棄してしまった.


ケースやパーツの防振対策にはお金を掛けているのは良いのだが、N-50で使われているプリント基板のあまりの質の悪さに閉口してしまった.一寸半田ごてを当てただけで、簡単にパターンがハゲてしまうような安物基板だった.銅箔の厚みが半端なく薄かった.こんな銅箔の薄い基板は見たことがない.何でこんな重要な部分のコストを削るのだろう.Pioneerのオーディオが潰れてしまったのも無理はない.


結局、今回N-50で生き残ったのはケースの側だけとなってしまった.フロントパネルの電源スイッチとLED、押しボタンスイッチは活用できそうだが、液晶ディスプレイは仕様が不明な上に制御するファームウェアを一から作成しなければならないので、この液晶表示器を活かすことは無理だろう.目隠し代わりに元のままフロントパネルに固定して置くことにする.


高さは低いがフルサイズのオーディオケースなので、基板やパーツのレイアウトはそれほど苦労しなくても済んだ.今回は、PC EngineのAPU2ボードで組んだミュージックサーバもN-50のケース内に組み込んで、オールインワンのネットワークオーディオシステムにしてしまった.



All-in-One Audio System
外観がN-50のオールインワンのネットワークオーディオシステムが完成