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03
2022
DENON DA-300USBの再改造
DA-300USBが壊れたので再度改造を行ってみた
大分以前の記事『DA-300USBの電源廻りをグレードアップしてみた』でDA-300USBの貧相な電源廻りを大改造して、電源トランス方式によるセパレートDC給電化を行い大幅な音質改善を行っている.DA-300USBはDENONのDAC製品としては初期の製品であり、実売価格で5〜6万円程度のUSB DAC入門機といったところだろうか.
この機種の売りはDENONが売りにしているAL32と名付けたデジタルプロセッシング(DSP)による信号処理を行い、補間処理により元の音声信号を推定した上で再生を行っているのだそうだ.以前、DACチップ(TI PCM1795)のデジタル入力信号の波形を観察したことがあったが、DACの入力信号は DSPカードによって全ての入力信号が192KHz 32bitに変換(アップサンプリング)されたいた.この方法だと、DACのアナログ出力部分のフィルター設計が単純化できそうだ.
私のメインのDAC環境は自作機(ESS ES9038Pro、AKM AK4497)を使用しているが、私が購入した唯一の市販品であるDA-300USBの音も結構気に入っている.DENONがチューニングしているので、電源部以外のメイン部分の音質はこのクラスの製品としては上質な物だと思う.
今回、DA-300USBを再改造することになったのは、私の単純なミスでDACチップを吹っ飛ばしてしまったからで、DACチップの交換ついでに電解コンデンサーやOPアンプの交換を行ってみることにした.DA-300USBではヘッドフォンは滅多に使用しないが、この際なので大分以前から壊れていた電子ボリューム部分を取っ払って、ヘッドフォンのボリュームをアナログボリュームでコントロールすることにした.
どうせ作り直すのならバランス出力化もやってしまえと言うことで、基板のレイアウトや電源モジュールの作り直しを行いコンパクトな筐体にギッシリと部品を詰め込んでみた.電源部の発熱も問題なさそうなので、これまでのようにケースの天板を外して放熱させる必要はなさそうだ.
2度目の大幅な改造を行ったDA-300USB
バックパネルを全面的に作り直して筐体の部品のレイアウトを工夫する
今回は、手持ちのパーツの関係で大幅な部品の交換は行わなかったが、DAC廻りの電解コンデンサをパーツ箱に眠っていたニチコンのMuse KZ、Panasonic のOS CON などに交換してみた.OPアンプも全面的に交換したかったが、Line出力とヘッドフォンアンプのプリアンプ部分を、JRCのMUSES8920に取り替えてみた.
Line出力とヘッドフォン出力のカプリングコンデンサをニチコンの無極性MUSE ESシリーズ(メタリックグリーンの奴)に交換してみたが、あまりの音質の悪さ(こもったような変な音)に、元のエルナー製の電解コンデンサ(DENON仕様シルミック)に戻した.
パーツの交換で音質の変化を楽しむことが可能だが、一つのパーツの交換によって音質が良い方へ転ぶこともあれば悪い方へ転ぶ事もある.やはりメーカー製の汎用製品はそれなりのバランスで音質チューニングされているので、音質的には『可も無く不可も無く』というところなのだろう.
DSPドーターボードを外したメイン基板
DACの主要部分(I/V変換、Line出力、電子ボリューム、ヘッドフォンアンプ)
DACチップ(PCM1795)と周囲の電解コンデンサを取り外す
I/V変換回路にはロームのOPアンプが使われていた
平衡ライン出力用とヘッドフォンボリューム制御のための入出力ケーブルを基板から取り出す
DSPボード電源用のトランスをトロイダルに変更して電源レギュレータの放熱方法を変更
メイン基板用の +5V/ +-12V 系の電源がスペースの関係で基板を裏返しに設置した関係で、電源レギュレータの廃熱が上手く行かず結構熱がこもってしまうので、DSP基板用のカットコアの電源トランスを共立電子のHDB-12 (9Vx2) トロイダルコアに変更し、メイン基板用の電源基板を作り直して電源レギュレータをケースのサイドパネルのヒートシンクに直接取り付けることにした.OPアンプ用の電源電圧を +-15V に上げて、シリーズ電源レギュレータのドロップアウトを小さくした効果と相まって、ケースの上蓋を閉めて密閉しても安心して運転できるようになった.
電源トランスの交換で電源基板の配置が楽になり、スムーズな廃熱が可能となった
蓋をした状態でも安心して使用可能となった
DA-300USBのビルトインアンプと自作のバランスドライブヘッドフォンアンプとの聞き比べ