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30
2011
Lionのインストール前の準備
Lionのインストールのためのパーティション構成の検討
Lionがリリースされてから10日程経過しましたが、Lionのインストール作業がこれまでのインストール方法とは全く異なるアップグレードインストールが採用されているため、Lionのインストールそのものが上手く行かなかったり、トラブルに遭遇してしまう人も多いようです.
Appleの推奨環境で標準的な使い方(購入時の状態のまま)をしている場合は、サードパーティー製のアプリケーションの互換性を除いてはトラブルもなくすんなりとLionのアップグレードができるようです.BootcampツールによるWindowsとのデュアルブート環境下でも問題ないことと思います.(Bootcamp下でのLionインストールについては未確認ですが、LionのインストーラーはきちんとBootcamp下のWindowsパーティションを処理してくれるでしょう)
問題はBootcampを使わずに、自分でパーティションを切りWindowsやLinux等をインストールしている場合です.Lionのインストーラーは自分自身をインストールするパーティション(現行のSnow Leopardが動いている)に対して、”Ricovery HD” という小さなパーティションを後方に挿入するようです.恐らく現行のパーティションを縮小して後方に空きを作り、そこに新たなパーティションを作成するのだと思います.
まだLionのインストーラ自体を入手することができす、実際に試すことができないのでハッキリしたことは言えませんが、Lionのインストール時に”Ricovery HD”を作成しないことも可能なようですが、とりあえず “Ricovery HD” はそのまま作成しておいた方が良いでしょう.
デフォルトのBootcamp環境の場合
AppleのBootcampツールを用いてWindowsをインストールした場合には、パーティション構成は下記のようになっているはずです.
$sudo diskutil list
/dev/disk0
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *100.0 GB disk0
1: EFI 209.7 MB disk0s1
2: Apple_HFS Macintosh HD 79.0 GB disk0s2
3: Microsoft Basic Data XP 20.7 GB disk0s3
$sudo fdisk /dev/disk0
Disk: /dev/disk0 geometry: 12161/255/63 [195371568 sectors]
Signature: 0xAA55
Starting Ending
#: id cyl hd sec - cyl hd sec [ start - size]
------------------------------------------------------------------------
1: EE 0 0 2 - 25 127 14 [ 1 - 409639]
2: AF 25 127 15 - 1023 254 63 [ 409640 - 154296880] HFS+
*3: 07 1023 254 63 - 1023 254 63 [ 154970112 - 40400896] HPFS/QNX/AUX
4: 00 0 0 0 - 0 0 0 [ 0 - 0] unused
この場合、Lionのインストーラーは Snow Leopard のパーティションである #2の disk0s2 の領域の後方に”Recovery HD” 領域を作成する(形式はHFS+ ?)ので、Lionインストール後のパーティション構成は次の様になるでしょう.(後日実際に検証することができたら実際のパーティション構成情報を載せる予定です)
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *100.0 GB disk0
1: EFI 209.7 MB disk0s1
2: Apple_HFS Macintosh HD 7x.0 GB disk0s2
3: xxxxxxxxx Recovery HD領域 xx.x MB disk0s3
4: Microsoft Basic Data XP 20.7 GB disk0s4
#: id cyl hd sec - cyl hd sec [ start - size]
------------------------------------------------------------------------
1: EE 0 0 2 - 25 127 14 [ 1 - 409639]
2: AF 25 127 15 - 1023 254 63 [ 409640 - 15xxxxxxx] HFS+
3: xx xx xxx xx - 1023 254 63 [ 15xxxxxxx - 154296880] (HFS+ ?)
*4: 07 1023 254 63 - 1023 254 63 [ 154970112 - 40400896] HPFS/QNX/AUX
以前の記事でWindowsをインストールするためのパーティション構成を紹介しましたが、LionをインストールしてもWindowsのパーティションは4番目以内に収まりますので、疑似MBR構造の範囲内ですのでブートローダーは正しく処理できます.この場合、Windowsのパーティション情報を記録している”boot.ini” ファイルの記述内容もパーティション番号を書き換えなくてはならなくなるのですが、Lionのインストーラーはこの辺の処理もきちんと行ってくれるのでしょうかね?
Windows側の”boot.ini” ファイル等には一切手を加えないのであれば、GUIDパーティションテーブルや疑似MBR構造側で調整しているのかもしれません.”Ricovery HD” の物理的な領域そのものは disk0s2 領域の後半部分に確保するが、GUIDパーティションテーブルや疑似MBR構造上でのパーティション番号は #4 として扱っているのかもしれません.
問題が生じるパーティション構成
Apple 純正のBootcamp環境下では問題は生じないとしても、自分でパーティションを区切ってWindowsやLinuxをインストールしている場合には問題が生じる可能性が高いと思われます.
例えば、#2:Mac OS(Snow Leopard), #3:FAT32(共有), #4:NTFS(Windows) のようにパーションを区切ってマルチブート環境を構築していた場合、Lionをインストールすると
#2:Mac OS(Lion), #3: “Ricovery HD”(領域)#4:FAT32(共有), #5:NTFS(Windows)
のようにパーティション構造が変わってしまいます.この場合 #5:NTFS(Windows) は完全に疑似MBR構造から外れてしまい、Windowsが完全にアクセス不能になってしまいます.
Lionをインストールしても問題が生じないようなパーティション構成
Lionのインストールによって問題が生じないようにするには、Lionをインストールするパーティションを#5番目以降に置けば問題は無さそうです.現段階では実際のLionのインストーラーの振る舞いを調べてはいないので確証的な事は言えませんが、少なくてもLionのインストーラーはインストールターゲットとなっているパーティションの領域の中に”Ricovery HD” パーティションを作成する筈です.
WindowsやLinux等のレガシーMBRに依存するブートローディングを行うOSは、疑似MBR構造の制約から #1〜#4番目のパーティション領域に置かなければならないという制約がありますが、Mac OS X では物理的なパーティションの配置に関しては全く制約がありません.つまりMac OS Xは #5番目以降のパーティションに自由に配置しても何ら問題はありません.
そこで、Snow Leopardを残したまま、新たに#5番目以降のパーティションにLionをインストールすることにしましょう.
#2: Mac OS(Snow Leopard), #3:FAT32(共有), #4:NTFS(Windows) , #5: Lion, #6: “Ricovery HD”, …
この方法の利点は、現行のSnow Leopardはそのまま残した状態で、新たにLionをインストールするので既存のアプリケーションがLionに対応していない場合は、いつでもSnow Leopardに切り替えてこれらのアプリケーションを使うことができるので安心して Lionをインストールできます.世の中が Lion環境に移行するまではこの方法が一番現実的なアプローチだと思います.
手順としては簡単で、現行のSnow Leopardをそっくりそのまま#5番目以降のパーティションにコピーし、コピーしたSnow Leopard上でLionのアップグレードインストールを行うだけです.
ここでは敢えて詳しい手順を紹介しませんが、Mac 使いのエキスパートであれば上記の簡単な説明だけで十分でしょう.逆に上記の説明では全く何が何だか分からないというような人の場合は、下手に手を出すと大切なデータを消失してしまう危険があるのでお薦めできません.
マルチブート環境を作成する予定の方は、パーティション構成を考える場合 #2〜#4 までのパーティションはレガシーMBR環境に依存するOSのために予め領域を確保しておき、Mac OS X 自体は全て #5番目以降に配置するようにしておくのが無難な構成だと思います.
参考までに、我が家の iMac4,1(2006年初期)の現行のパーティション構成を載せておきます.
iMac:~ yasuaki$ sudo diskutil list
/dev/disk0
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *1.0 TB disk0
1: EFI 209.7 MB disk0s1
2: Microsoft Basic Data SHARED 64.0 GB disk0s2
3: Apple_HFS disk0s3 31.9 GB disk0s3
4: Microsoft Basic Data WinXP 36.0 GB disk0s4
5: Apple_HFS SnowLeopard 80.0 GB disk0s5
6: Apple_HFS PreLion 64.0 GB disk0s6
7: Apple_HFS SnowLeoBackup 80.0 GB disk0s7
8: Apple_HFS Home 400.0 GB disk0s8
9: Apple_HFS Works 160.0 GB disk0s9
10: Apple_HFS Tmp 48.0 GB disk0s10
11: Apple_HFS Scratch 34.9 GB disk0s11
iMac:~ yasuaki$ sudo fdisk /dev/disk0
Disk: /dev/disk0 geometry: 121601/255/63 [1953525168 sectors]
Signature: 0xAA55
Starting Ending
#: id cyl hd sec - cyl hd sec [ start - size]
------------------------------------------------------------------------
1: EE 0 0 2 - 25 127 14 [ 1 - 409639]
2: 07 25 127 15 - 1023 99 13 [ 409640 - 125000000] HPFS/QNX/AUX
3: AF 1023 207 2 - 1023 220 44 [ 125673472 - 62236672] HFS+
*4: 07 1023 46 46 - 1023 229 12 [ 188172288 - 70311936] HPFS/QNX/AUX