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08
2012
電子国土の利用規約について
電子国土の利用規約を再度検証してみる
電子国土WEBシステムは現在V4システムの試験公開を行っているところであるが、このV4システムの試験サイトに対する利用規約がハッキリしておらず、従来の規約をそのまま当てはめてしまうとV4システムによる電子国土基盤地図情報の公開ができないということになってしまう.
電子国土の利用規約にはいつも悩まされているが、今一度情報整理のため利用規約を検証してみることにした.
電子国土Webシステムの利用規約 http://portal.cyberjapan.jp/portalsite/kiyaku/index.html によると、
1.電子国土Webシステムを利用して背景地図等データ又は上載せ情報を提供又は入手した場合
2.電子国土ソフトウェアを提供又は入手した場合
3.電子国土サイトを開設又は管理した場合
は電子国土Webシステムの利用規約に同意したものとみなされることになっている.
例えば、個人が自分のWEBサイトやブログ等で電子国土WEBシステムを用いて基盤地図情報を公開する場合は、上記の3つの事例に該当する事になる.
電子国土の利用規約には「利用条件の遵守」という項目があり、
・電子国土Webシステムを用いて背景地図等データを閲覧又は入手するに当たっては、「国土地理院背景地図等データ利用規約」に従うこと
になっている.問題はこの「国土地理院背景地図等データ利用規約」の中身で、自分が利用しようとしている事例がこの規約のどの条件に該当するのかが分かり難いことである.どのような利用の仕方をするかによって国土地理院へ利用承認申請が必要となるか否かが決まるのである.
「国土地理院背景地図等データ利用規約」は地形図などの地図情報を複製して紙媒体などで再配布や展示などを行うために用意された過去の利用規約で、後で無理矢理こじつけたような形でインターネット等のメディアでの公開について規定を加えているので、現代のWEBマップシステムやGISシステムでの利用の実態に合致していないと言えるだろう.
背景地図の複製・使用承認について
国土地理院の承認申請Q&Aによると、
複製承認申請が不要の場合
・私的な利用
・教育機関での利用
・メモ程度の一時的な利用やイラスト的な扱いの場合
出所(出典を明記する)を表示することで複製承認申請が不要となる場合
・博物館や美術館などでのパネル展示など
・学術論文での利用
・試験問題等での利用
・TV番組等での短時間利用
・書籍や雑誌、パンフレット等に少量の地図を載せる場合
【WEBサイトへの掲載条件】
300×400ピクセル以下の大きさで地図等の一部(ラスタ形式)を掲載する場合
300×400ピクセルを超え、画面に収まる大きさで地図等の一部(ラスタ形式)を掲載する場合
→ Webサイト全体の中で5枚まで
但し、地図がスクロール表示される場合は申請が必要
利用目的が次の様な場合
・会社内やサークル等での30部(PC30台)以内の利用
・申請書や報告書等での利用
複製承認申請が必要となるのは、
・測量の用に供する場合
・書籍、パンフレット、CD-ROMその他のもので不特定多数の者に対し発行する場合
・インターネット等により情報を提供する場合
となっている.自分のWEBページやブログなどで地図等を掲載して公開する場合は不特定多数への公開になるので、個人のWEBページであっても私的な利用とはみなされず、出版物などの刊行物ということになるようだ.
小さなサイズのラスタ(画像)形式の地図データは申請不要で、出所を明記すればOKと言っておきながら、不特定多数からアクセス可能なWEBサイトでの利用は申請が必要だという.何だかちゃんと読めば読むほど訳がわからなくなってしまう.
電子国土WEB APIを利用したインタラクティブな地図表示は申請不要なのか?
さて問題は、Javascriptベースの電子国土WEB APIを利用して、WEBサイト上にスクロール可能なインタラクティブな地図を公開する場合である.
電子国土WEB APIを利用して表示する場合に表示される地図は、背景地図に相当するので左記の条件に照らし合わせれば複製承認申請が必要になってしまうのだが、電子国土WEB APIを利用したインタラクティブな背景地図表示に関しては申請は不要という事らしい.(以前国土地理院のサイトにこの事を明記したページがあったような気がするが、現時点では探し出すことができなかった. → 電子国土事務局へ電子国土サイト開設報告は必要 )
【注意】カシミール3Dや電子国土ポータルサイトなどを利用して地図データを切り取って画像データとしてホームページに載せる場合は、国土地理院へ使用申請が必要なので注意して欲しい.申請して利用許諾を受けた上で、地図の下部などに、「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用した。(承認番号 平○○情使、第xxx号)」のような表示を行う必要がある.
国土地理院が開発した電子国土WEB APIを利用してインタラクティブな背景地図の表示することは問題無さそうだが、OpenLayers等の国土地理院以外が開発したフレームワークやGoogleなどのWEB Mapサービスを用いて電子国土の背景地図を公開する場合は問題が山積みのようだ.
国土地理院背景地図等データ利用規約では、
・背景地図等データ提供サーバへのアクセス機能を実装する場合は、予め国土地理院の利用許諾を得る必要があります。
となっている.電子国土V4のWEB APIがどのような形で公開されるのかは現時点では不明だが、現状では電子国土V4の背景地図を用いた地図情報を公開するには国土地理院の利用許諾が必要ということになる.うーん困った...
【追記:12/08 2012】 国土地理院の利用許諾に関する補足説明ページが設けられた?ようです
とりあえず、『電子国土のソフトウェアを開発する場合の利用許諾について』https://y2tech.net/blog/computer/webmap/denshikokudo_v4_approval_procedure-3428/ にこの利用許諾に関する補足説明ページの私なりの解釈を載せておきました.