京都嵯峨野 鳥居本


Date/Time: 2006:12:02 10:31:41
Camera: Canon
Model: Canon EOS Kiss Digital N
Exporsure Time: 1/80
FNumber: 6.3
Aperture Value: 5.3
Focal Length: 30.0

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2017

+5Vの小型コンピュータ用バックアップ電源あれこれ

Raspberry Pi/BeagleBoneなどの小型コンピュータの電源対策


かなり前の記事『Raspberry Pi の電源対策』で Rapsberry pi 用 ミニUPS (Galileo 7)を紹介したが、BeagleBone + Botic の組合わせの自作DACシステムで動作しているバックアップ電源を紹介しておく.


モバイルバッテリーを2~3試して見たが、勝手に電源がOFFになってしまうなど余計な機能が付いており、今回の様な使い方には不向きだった.モバイルバッテリーの使用は諦めてLi-Poバッテリーのコントローラーを組み合わせたり、スーパキャパシタと昇圧型のDC-DCコンバータなどを組み合わせたバックアップ用電源回路を作ってみた.


先ず最初に試したのが、Seeed Studio の “LiPo Rider Pro” で、$14.95程で販売されている.日本では千石電商などで入手可能だ.[ http://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-0PRU ]

LiPo Rider Proの良い所はLiポリマーバッテリーの充放電制御だけではなく、昇圧型のDC-DCコンバータ機能が備わっており、+5Vの出力が直接得られることだろう.



SeeedStudio LiPo Rider Pro
LiPo Rider ProとGalileo7のUPSの組みあわせ

Li-Po Battery
400mAhの小さなLi-Poバッテリーを基板裏面に両面テープで貼り付けている

Galileo 7のUPSはモバイルバッテリーを前提に作ってあるので、バッテリー系のコネクタはUSB/Micro USBの組み合わせとなっている.とてもじゃないが、電源供給部分にMicro USB コネクタなんか使う気になれないので、USBコネクタを取っ払ってケーブル直結かJSTのコネクタに改造してある.


Li-ionバッテリ充放電モジュールキット “Li+ Battery”


同じ Galileo 7 より 18650タイプの円筒形型Li-ionバッテリに対応した充放電管理モジュール “Li+ Battery” がでたようなので、こちらも入手してみた.但し、こちらは基板とパーツのキットで自分で半田付けして組み立てる必要がある.組み立ての難易度は高くはないが、電子工作初心者には向いていない.


こちらの方はバッテリーの充放電制御だけで、+5Vの昇圧出力はないので、Li-ionバッテリー(公称: +3.7V +4.2Vで充電停止、+3.3Vで放電停止)の出力がそのまま出力されるだけである.最大で4Aまで電流を流せるようだ.


Li+ Battery board
Li+ Batteryの基板

Li+ Battery System
Li+ Batteryを組み立てるとこんな感じ


スーパーキャパシタとDC-DCコンバータを組み合わせたバックアップ電源


Li-ionバッテリーと充放電モジュールの組みあわせは安定した出力が得られるので安心してバックアップ電源に用いることができるが、今回のようなコンピュータのシャットダウン終了までの間の一寸した時間稼ぎ(数秒程度)的な用途には大袈裟過ぎる.


もっと簡単にシャットダウンするまでの時間稼ぎができないかと試行錯誤を重ねているが、スーパーキャパシタと昇圧型のDC-DCコンバータを組み合わせると、数十秒程度の時間稼ぎができそうだ.まだ、実験段階で人様に公開できるような状態では無いが、とりあえずこんな感じと言うところをお見せしておく.



UPS基板の下にスーパーキャパシタ基板
UPS基板の下にスーパーキャパシタ基板を実装してある

スーパーキャパシタ基板
スーパーキャパシタ基板

DC-DCコンバータモジュール
DC-DCコンバータモジュールで出力電圧を+5Vに保つ


スーパーキャパシタは+5V前後の物を用意する.キャパシタセル自体は2.5~2.7V前後なので、5V系の物は内部で2個直列に接続されているだけだ.秋月電子や千石電商などで比較的容易に入手可能だ.スーパーキャパシタの容量選びに迷うが、ここはバックアップ時間との兼ね合いで決めなければならないが、とりあえず 5.4V 5F の物を用意してみた.


スーパーキャパシタは単なる容量が巨大なだけのコンデンサなので、充放電の特性はコンデンサそのものだ.容量の大きい電解コンデンサを扱ったことがあればおわかりだろうが、最初の突入電流は巨大だ.このままスーパーキャパシタを電源とパラにつないだのでは電源の方が耐えられないだろう.仮に電源側の余裕があったとしても、コンピュータの電源とパラに繋ごう物なら電圧の低い状態が続いて何時までたってもコンピュータが起動しないだろう.


これを回避する方法は充電用の電源をコンピュータとは別にするとか幾つか考えられるが、今回は電流制限ダイオードを使って、巨大な突入電流が流れないような工夫をしてみた.基板の左下にある黒い四角い物体が電流制限ダイオード(350mA)だ.スーパーキャパシタの手前に電流制限ダイオードを直列に入れて、充電電流が最大でも350~700mAに収まるようにしてある.スーパーキャパシタがフル充電されるまでの時間はかなり長くなってしまうが、今回の様な用途では問題にならないだろう.


スーパーキャパシタの問題として、電圧が絶えず変化(充電中は徐々に上昇し、放電中は徐々に低下)してしまうことだ.このままではとてもコンピュータの電源としては使えない.そこで入力電圧範囲の比較的広いDC-DCコンバータを組みあわせ、多少の電圧変動でも常に一定の出力電圧(今回は+5V)が保たれるようにした.


今回は、ストロベリーリナックスの “TPS63020 昇降圧DC-DCコンバータモジュール(3.3V/5V)” を使用してみた.ストロベリーリナックスさんには数え切れないくらいのDC-DCコンバータモジュールが有るので、その中から使えそうな物を選べば良いだろう.オーディオ用の電源では無いのでノイズの発生は覚悟しなければならないが、コンピュータとDACボードがデジタルアイソレータで絶縁してあれば、それ程神経質にならなくても良いだろう.


まだ色々と試行錯誤している段階なので、回路図等は示さないが、DC-DCコンバータの使い方さえ押さえておけば、あまり細かなことを考えなくても試作できるだろう.お試しあれ.


To be continued.