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2008
MacでWin – 番外編:XPでメイリオフォント(その3)
メイリオをXPのシステムフォントに設定する
ユーザインタフェース用の “MeiryoKe_UIGothic” が使えるようになったので、XPのシステムフォントとして使えるように設定してみましょう.通常のアプリケーションソフトウェアであれば、そのアプリケーションで使用するフォントは有る程度ユーザが自由に変更できるようになっていますね.ではWindowsが普段デスクトップやメニューなどで使っているフォントはどうでしょう.Windowsに限らず様々なアプリケーションソフトウェアでもメニューやウインドウのタイトルで使われているフォントはみな同じ “MSゴシック” ではないでしょうか.このようなフォントは一般的にシステムフォントと呼ばれていて、そのOSの標準的な基準となるフォントです.アプリケーションソフトウェアを開発する場合は、そのユーザインタフェースをこのシステムフォントを使って設計しています.
“MeiryoKe_UIGhothic” をわざわざ “MS UIGothic” に合わせたのは、システムフォントが使われている部分の表示が大きく崩れないようにするための配慮だったのです.
“MeiryoKe_UIGhothic” をWindows XP のシステムフォントにするには少し厄介な作業が必要になります.大きく分けて2種類の方法があります.最初の方法は Windows の標準システムフォントである “MSゴシック” フォントファイルそのものを “MeiryoKe_Gothic” で置き換えてしまう方法です.この方法の利点は、Windows XP 側の設定やアプリケーションソフトウェア側の設定を変更しなくても、フォントを置き換えるだけで新しい”MeiryoKe_Gothic” で表示できるようになることです.その代わり、本来の “MSゴシック” は使えなくなってしまうことでしょうか.
もう一つの方法は、Windows XP のレジストリを直接書き換えて、Windowsのフォントの設定を変更する方法です.この方法では使うフォントの組み合わせなどを細かく指定できるのですが、レジストリ操作というリスクを伴います.Windowsに詳しい方ならご存じでしょうが、レジストリはWindowsの制御を司る心臓部とも言える部分で、このレジストリが壊れてしまうとWindowsはまともに動かなくなってしまいます.Windowsにとってはアキレス腱のような部分です.レジストリはWindowsの諸悪の根源ではないでしょうか.
どちらの方法が良いかは、ユーザのスキルや使用目的によって異なると思いますので、両方紹介しておきます.
方法1: MSゴシックフォントを置き換える方法
この方法は比較的簡単ですが、フォントフォルダのファイルの名前を付け替えて入れ替えるだけではだめで、フォントファイルの内部に記録されているフォント名も同時に変更してあげないと Windows 側で認識してくれません.幸いフォント名などの情報を書き換えるツールが幾つか出まわっていますので、それらを使って “MeiryoKe_Gothic” を “MSゴシック” に仕立ててみましょう.
まずフォントの情報を書き換えるツールを入手します.今回使うアプリケーションは “ttfname3.exe” というツールです.このツールの入手については前の記事『XPでメイリオフォント(その2)』を参照して下さい.このツールは、フォントファイルから、フォントに関する情報を抽出し、XML形式で外部にフォント情報を書き出す処理と、XMLフォント情報を入力として、フォントの情報を書き換える処理を行うことができます.
このツールの使い方ですが、フォント情報を抽出する場合にはコマンドライン上で、
C:\> ttfname3.exe <fontfile> -o <xmloutput>
のように指定します.<fontfile> は対象となるフォントファイル名、<xmloutput>は情報を書き出すファイル名です.コマンドラインを使わなくても、フォントファイルを直接この”ttfname3.exe”のアイコンにドラッグしてもOKです.この場合は出力されるXMLファイルはフォントファイル名に拡張子 “.xml” が付いたものとなります.
フォント情報を置き換える場合には、
C:\> ttfname3.exe <fontfile> <xmlinput> -o <outputfont>
のように指定します.<fontfile> は対象となるフォントファイル名 <xmlinput> は置き換えるフォント情報、<outputfont>は情報が置き換えられ、新たに生成されたフォントファイルです.元のファイル<fontfile> には手が加えられないようです.元のフォントファイル<fontfile>とフォント情報ファイル<xmlinput>を直接 “ttfname3.exe”のアイコンにドラッグすると、フォント情報ファイルのファイル名の後ろに “_mod” という文字列が付け加えられたファイル名でフォントが作成されます.
【 Step. 1 】
フォントフォルダから “MSゴシック” フォントを適当なフォルダにコピーします.コピーした”MSゴシック” フォントに対して、”ttfname3.exe” を使って”MSゴシック”のフォント情報を XML テキストデータとして保存して下さい.
【 Step. 2 】
同じフォルダに、”meiryoKeGothic.ttc” フォントを用意して.同じように “ttfname3.exe” を使ってmeiryoKeGothic.ttc”のフォント情報を XML テキストデータとして保存して下さい.
【 Step. 3 】
2つのXMLファイルをテキストエディタで開き、両方を突き合わせながら “meiryoKeGothic.ttc” フォントデータの該当する部分を、”MSゴシック”のフォント情報で置き換えます.置き換える部分は、 <!– Family –> と <!– FullName –>、<!– PostscriptName –> だけで大丈夫でしょう.”meiryoKeGothic.ttc” はTTC形式で3つの書体が含まれていますので、Font(0) 〜 Font(2) の3つとも該当箇所を書き換えて下さい.Copyright などのその他の部分は必要に応じて書き換えて下さい.”meiryoKeGothic.ttc” フォントには、英語名や日本語名、その他の国の情報も書き込まれていますが、英語名と日本語名だけ書き換えればOKです.
フォント名を正確に記述するため、コピー&ペーストを使って正確にコピーして下さい.
<!-- Family -->
<T n="0,3,0000,1">MS Gothic</T>
<T n="1,0,0000,1">MS Gothic</T>
<T n="3,1,0409,1">MS Gothic</T>
<T n="3,1,0411,1">MS ゴシック</T>
同様に、<!-- FullName --> <!-- PostscriptName --> も書き換える
参考までに、”MSゴシック” と “meiryoKeGothic.ttc” のフォントデータの中身を表示しておきます.
・“MSゴシック”のフォントデータ
・“meiryoKeGothic.ttc” のフォントデータ
【 Step. 4 】
書き換えられたフォントデータと、”meiryoKeGothic.ttc” から、新しいフォントを作成します.このフォントの名前を “MSゴシック” フォントと同じファイル名 “msgothic.ttc” に変更します.もし、WindowsアップデートなどでJIS2004対応フォントにアップデートしてあれば、ファイル名は “msgoth04.ttc” になっている筈です.尚、この JIS2004対応フォントのアップデートは、デフォルトでは自動アップデートされませんので、自分でアップデート作業を行っていなければ古い MSゴシック フォントのままだと思います.
【 Step. 5 】
フォントフォルダからオリジナルの “MS ゴシック” フォントを適当な場所に移動(削除)して下さい.オリジナルのフォントは必ずバックアップを取っておいて下さい.新しく作成したフォントの名前を オリジナルの “MS ゴシック” フォントと同じ名前に変更して、フォントフォルダにコピー(インストール)します.
【 Step. 5 】
後は再起動すれば、これまで “MS ゴシック” フォントで表示されていた部分が全て、”MeiryoKe_Gothic” フォントで表示されるはずです.後は好みに応じて、表示フォントサイズを変えて下さい.
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