Sunrise Pacific Ocean


Date/Time: 2021:02:28 06:08:25
Camera: Apple
Model: iPhone SE (1st generation)
Exporsure Time: 1/396
FNumber: 2.2
Aperture Value: 2.3
Focal Length: 4.2

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y2blog » iPhone用GPSナビに挑戦 #6

12

21

2011

iPhone用GPSナビに挑戦 #6

国土地理院の背景地図データを利用する


先の記事『iPhone用GPSナビに挑戦 #4』ではiPhone上でUIWebViewを用いて電子国土WEBサービスにアクセスしてみましたが、GPSナビとしては全くの役不足です.Wi-Fiや3Gの電波が届く場所では自分の居る位置を表示することぐらいはできそうですが、山岳地域では携帯の電波が届く場所は人家が近くに有る場所など極限られた場所しかありません.UIWebView上に電子国土V2/3システムの地図を表示すると、画面のスクロールやコントロールが全くできません.通常のWebブラウザ以外ではまともに動かないようです.


iPhoneのGPS機能は携帯の電波が届かなくてもGPSの衛星さえ補足できれば自分の位置を取得することができます.後はその位置の地図をiPhoneの画面に表示できればOKなのですが、地図を電子国土WEBサービスからダイナミックに取得することができないので、予め地図データをiPhone上に保存しておき、該当する地図を画面に表示する機能を組み込めばGPSナビとしての最低限の機能は実現できそうです.

電子国土で提供されている背景地図データについて


国土地理院が提供している電子国土サービスの概要については、『電子国土ポータル』電子国土とはをご覧頂くとして、今回利用する予定の背景地図提供サービスについて簡単に紹介します.


この背景地図提供サービスは電子国土サービスの基本となる基本地図データを余計な情報やサービスを加えたりしない生の形で画像情報として提供するものです.地図データとしては、
・2500レベル基盤地図情報

・電子国土基本図

・旧1/25000地図情報(所謂 1/25000地形図)

・小縮尺図(1/20万)

・小縮尺図(1/100万)

・小縮尺図(日本全図)

・電子国土基本図(オルソ画像)  航空写真データ
などが提供されています.背景地図提供サービスの技術的な仕様については、『国土地理院背景地図等データ「利用可能な背景地図等データの種類及び技術情報」』(PDF) をご覧下さい. 技術情報・構築ツール http://portal.cyberjapan.jp/portalsite/docs/index.html


これらの背景地図データの中で、必要になるのは電子国土基本図ですが、山屋さん的には以前の旧1/25000地図情報のデータの方が利用価値が高いかもしれません.今年の2月から提供開始された電子国土基本図(地図情報)サービスは山屋さん達には不評のようです.新しい電子国土基本図では山中の送電線情報が消されています.送電線の情報は山中で自分の居場所を確認するための大変有用な情報です.送電線情報が消された理由は定かではありませんが、もしテロ対策で消されたのだとしたら笑止千万ですね.(追記:電力会社が保安上の理由で情報提供を断っていると言うのが実情のようです.http://www.asahi.com/national/update/1112/TKY201111120125.html)
電子国土基本図では馬鹿みたいに太い線が行政区画の区切り線として用いられていて鬱陶しいですが、お役所ベースのサービスなので行政上の縄張りに関する事は一番重要な情報なのでしょう.これまでの地形図に慣れ親しんできた人にとっては新しい電子国土基本図(地図情報)は耐え難い改悪としか写らないでしょう.私は地図や測量などの知識を持たないド素人ですが、電子国土基本図(地図情報)が何となく品位に欠けた不細工な地図のように感じているのは私だけではないでしょう.


国土地理院は電子国土基本図の今後の方針として自分たちで測量や現地調査は行わず、民間や他の機関から提供された情報を元に修正を施して行く計画らしい.電力会社から送電線の情報が提供されないので電子国土基本図から送電線や発電所、変電所の情報を載せていないという説明では何とも情けない話ではないでしょうか.各種地図の基本となる国土地理院の地形図(国土基本図)がこのような手抜きで作られているとしたら何とも不幸な事です.


話が逸れてしまいましたので、ここらで本題の電子国土システムの背景地図データの配信について簡単に説明しておきます.


電子国土基本図の情報は国土地理院のWEBサーバ(http://cyberjapandata.gsi.go.jp) 上に、緯度・経度が15秒、30秒、60秒単位の矩形データとして、PNG画像形式で配信されています.


地図データの投影法については『疑似円筒図法』という手法を用いているようです.この方法は経度方向については単位経度あたりの画素数は一定(300ピクセル)なのですが、緯度方向については緯度が高くなるにつれて縦に延びた形となり、緯度によって縦方向のピクセル数が変化するようになっています.


縦(緯度)方向の画素数の計算式は  


V = 300 * cos ( θ * π/180 )   θは緯度(度)


で与えられます.ちなみに日本列島の南端の波照間島近辺の緯度は約24度、最北端の宗谷岬では約45度ですので、波照間島では地図のピクセル数は 300(H) X 328(V) で、宗谷岬では 300(H) X 428(V) になります.


緯度によって縦方向のピクセル数が変化するのは、細切れの地図を組み合わせて地図を再構成する場合に面倒な処理が必要になりそうですね.緯度と地図のピクセルがリニアに対応しないのは厄介です.


参考までに波照間島と宗谷岬の地図データを並べて見ます.

波照間島 http://cyberjapandata.gsi.go.jp/data/60nti/new/44550000/44550000-8658000-img.png

宗谷岬  http://cyberjapandata.gsi.go.jp/data/60nti/new/51096000/51096000-16386000-img.png



波照間島の背景地図 300 X 328

宗谷岬の背景地図 300 X 428
 
「この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものです」

背景地図の縮尺の目安として、15秒サイズで 1/4500, 30秒サイズで 1/9000, 60秒サイズで 1/18000 に相当するようです.


15秒サイズ  http://cyberjapandata.gsi.go.jp/data/15nti/new/49941000/49941000-12729000-img.png

30秒サイズ  http://cyberjapandata.gsi.go.jp/data/30nti/new/49941000/49941000-12729000-img.png

60秒サイズ  http://cyberjapandata.gsi.go.jp/data/60nti/new/49938000/49938000-12726000-img.png

4分サイズ  http://cyberjapandata.gsi.go.jp/data/240bafd/new/49920000/49920000-12720000-img.png


15秒サイズ

30秒サイズ


60秒サイズ

4分(240秒)サイズ

「この背景地図等データは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものです」

iPhoneをGPSナビとして用いるには、行動予定範囲の背景地図を予めiPhoneにキャッシング(電子国土の利用規約では背景地図を保存して活用することは禁止されているが、データの閲覧・利用に伴う一時的な保存は除くという但し書きが付いているので、一時的なキャッシングは問題無いでしょう)しておき、細かに分割されている個々の背景地図を画像データとして再構成して表示させる仕組みを導入する必要があるでしょう.


キャッシングする範囲が狭い(タイルの枚数が少ない)場合は個々の画像データをマージして一枚の地図画像データとして扱えるので比較的易しいですが、キャッシングする範囲が膨大になる場合は間にイメージバッファのようなメカニズムを組み込んで、キャッシングされた地図データを上手く先読みして地図の表示がスムーズに行えるような仕組みを考え出さなければなりません.


何れにしても国土地理院の背景地図をダウンロードしてキャッシングし、そのデータを元に背景地図を再構成して表示する仕組みはかなり面倒な処理になりそうです.


ちなみに、昭文社の『山と高原地図 #28丹沢』(縮尺1/50000)に収録されている範囲を国土地理院の背景地図サーバからダウンロードすると、15秒間隔では 約6,160枚、30秒間隔で 1,540枚、60秒間隔でも360枚前後の背景地図データが必要になります.1枚の背景地図データのファイルサイズは 15〜20KB程度ですので、15秒間隔では120MB以上必要になります.



【追記】電子国土システムV4について


12/26 2011 に国土地理院から電子国土システムV4に関する背景地図画像データの仕様についての案内がありました.電子国土システムV3の公開と同時に次のV4に関する発表だったのでちょっと驚きましたが、これまで使いにくかった電子国土システムも段々良くなっていくことでしょう.


これまでの緯度による緯度方向の可変ピクセルサイズ方式を止め、メルカトル図法による正方タイリング画像になるのは歓迎すべき事だと思います.これで背景地図のタイリング処理が楽になりそうです.電子国土システムV4に関する背景地図画像データの詳細は国土地理院のホームページをご覧下さい.


電子国土Webシステムの開発予定
電子国土WebシステムVer4の開発状況や仕様について