塩竈桜(塩竃神社)


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03

2022

インターネット接続サービスの回線品質(IPoE, PPPoE, Nuro)

FLET’S系(IPoE, PPPoE)とNuroの回線状況


自宅のインターネット接続検証環境を用いて、FLET’S系インターネット接続サービスとNuro光の回線品質をスピードテストサイトおよびsmokepingによるレスポンス測定を行い比較してみた.


スピードテストサイトによる比較


この手のスピードテストサイトは幾つかあるが、今回はメジャーなUSENのスピードテストサイトを用いて比較を行った.このようなスピードテストサイトによる測定では、同じサイトでも時間帯やタイミングによって大きく数値がばらつくので、何回か測定を繰り返して平均値を取る必要がある.名目上は回線のスピードテストなのだが、実際はテストサイトのレスポンスに大きく影響されてしまうので、テストサイトの利用者が少ない時間帯に計らないと殆ど意味のないものとなってしまう可能性が高いだろう.


測定するサイトについても、複数のサイトで試してみないと信頼性の高い測定はできないだろう.インターネットプロバイダとスピードテストサイトがどのような接続形態(ピア接続、同じIX, 複数のIXをまたがるなど)お互いの物理的な位置関係に大きく左右されるのは、インターネットの仕組み上仕方が無いことなので、ここの測定値の優劣よりも全体的な安定性を重視することにする.


8/21(金)夜9時台の測定


USENスピードテストサイトではIPv4/IPv6のどちらでも接続可能なので、WEBブラウザ側でIPv4/IPv6のデュアルスタック接続が可能な状態になっていると、その時々のWEBブラウザの状態によりIPv4で測定されたり、IPv6で測定されたりしてしまう.測定結果にこちら側のIPアドレス表示を確かめて、IPv4での測定結果なのか、IPv6での測定結果なのか毎回確認する必要がある.

IPoE-DSLite-IPv6
IPoE DSLite方式 IPv6 での接続結果(金曜日の夜9時台)

上記の例はIPoE DSLite方式で、間隔を殆ど空けずに、3回連続して測定した内の1回目と3回目の結果なのだが、結果に倍近い開きが出てしまっている.金曜日の夜9時台なので、テストサイトのレスポンスがかなり悪化しているのではないかと考えられる.


上記の金曜夜の測定データは信頼性が乏しいので、曜日と時間帯を変えてなるべくテストサイトが暇そうな時間に再度測定してみた.



8/27(土)朝6時台の測定



IPoE-DSLite-IPv6-Rev.2
IPoE DSLite方式 IPv6 での接続結果(土曜日の朝6時台)

やはり金曜日の夜と土曜日の早朝では、スピードテストサイトのレスポンスは相当差が有るようだ.FLET’SのPPPoEとNuro光についても、測定結果を示しておく.



IPoE-DSLite-IPv4-Rev.2
IPoE DSLite方式 IPv4 での接続結果(IPv6との差は少ないようだ)


IPoE-Fixed-IPv4-Rev.2
IPoE 固定IPv4での接続結果


DSLite方式よりも若干スピードが遅くなっているが、NAPT変換処理がTransixのAFTRではなく、こちら側のルータ(IX2215)で行われていることが原因かもしれない.この程度の速度低下であれば問題ないレベルだろう.



PPPoE-IPv4-Rev.2
PPPoE 固定IPv4(インターリンクZoot Next)での接続結果


この結果からはPPPoE接続でもIPoE接続とあまり変わらないスピードであることがうかがえる.



Nuro-IPv6-Rev.2
NURO光 IPv6 での接続結果

NURO-IPv4-Rev.2
NURO光 IPv4 での接続結果



この手の回線スピードテストサイトによる測定結果から、単純に回線の優劣は決められないが、FLET’S光系のサービスよりも、一本のダークファイバ回線を4分岐で使用しているNURO光(マンションタイプ)の方が、スピード的には若干有利なのかもしれない.


USENスピードテストで3回連続で測定した Download/Upload スピードの平均値



 
 ・IPoE DSLite(IPv4)  Download:  506.3 MB/s   Upload: 207.7 MB/s  
             (IPv6)  Download:  551.3 MB/s   Upload: 214.3 MB/s  

 ・PPPoE (IPv4)       Download:  447.7 MB/s   Upload:  176.7 MB/s 

 ・Nuro (IPv4)        Download:  626.3  MB/s  Upload:  341.3 MB/s 
     (IPv6)        Download:  576.0  MB/s  Upload:  305.7 MB/s 



smokepingによるLatencyの測定


スピードテストサイトによる比較では、その時々での単純なバースト的なスピードしか測定できないので、回線全体の安定性やレスポンス性能を見てみないと、回線サービスの全体的な品質を計ることはできない.smokepingは一定間隔で定期的にネットワークのレスポンスを計測し、グラフ化して表示してくれる便利なツールなので、今回もこのsmokepingによる計測結果から、各種回線サービスの品質を見ていくことにする.


pingレスポンス


前回の記事で紹介した自宅の検証用のネットワークのVLAN配下に、KVMを利用した仮想サーバ上でsmokepingサイトを立ち上げ、AWS上に構築してあるサイト(このサイト)に対して、IPv4およびIPv6のfpingプローブを用いてレスポンスタイムを計測した.



IPoE DSLite (Transix)


IPoE-DSLite-IPv4-LT-y2lab
IPoE DSLite 回線での IPv4によるテストサイト(y2tech.net)へのpingレスポンス

IPoE-DSLite-IPv6-LT-y2lab
IPoE DSLite 回線での IPv6によるテストサイト(y2tech.net)へのpingレスポンス

IPoE DSLite 回線に関しては、IPv4/IPv6で回線のレスポンスに大きな差は無いようで、時間帯や曜日によるバラツキも比較的少ないようだ.それなりに安定していると言えるだろう.



PPPoE Fixed IPv4 (Interlink Zoot Next)



PPPoE-IPv4-LT-y2lab
PPPoE 固定IPv4回線(Interlink Zoot Next)でのIPv4によるテストサイト(y2tech.net)へのpingレスポンス

大分前から、FLET’S光回線では夜間になるとPPPoE回線終端装置がボトルネックとなって極端に回線スピードが遅くなり、使い物にならないという話が巷にあふれており、ここ数年で大手のインターネットサービスプロバイダがこぞってPPPoE方式からIPoE方式へサービスの鞍替えをユーザに促してきた.


その甲斐があってか、インターネットの仕組みを理解できていない一般のユーザでさへも皆IPoE方式へ切り替えたことによるPPPoE利用ユーザの減少によるPPPoE終端装置廻りのボトルネックの解消なのか、プロバイダやFLET’S側の設備増強による物なのか定かでは無いが、PPPoE接続サービスの夜間のスピード劣化は見られなくなったようだ.


このPPPoE接続サービスの夜間のスピード劣化は利用者の多い首都圏や大都市周辺で目立っていたと言われているが、今回の測定結果を見る限り、夜間のスピード劣化は全く起きていないばかりか、IPoE系のサービスに較べてスピード面でも殆ど変わりが無いと言える.


このPPPoEサービスの改善が私の住んでいる地域だけの事なのか全国レベルの事なのかは不明だが、どうやらこれまで定説の様に言われ続けてきた、PPPoEサービスは夜間糞詰まりを起こして使い物にならないという認識は改めた方が良いかもしれない.むしろ今まで快適だった、IPoE環境の方が今後どんどん劣化して行くのではないだろうか.



Nuro光(for マンション)




Nuro-IPv4-LT-y2lab
Nuro光でのIPv4によるテストサイト(y2tech.net)へのpingレスポンス

Nuro-IPv6-LT-y2lab
Nuro光でのIPv6によるテストサイト(y2tech.net)へのpingレスポンス

Nuro光(for マンション)に関しては、以前住んでいた地域での回線状況とそれ程大きな違いは無いが、やはり夜間に少しレスポンスが悪くなっている傾向が見られる.恐らくプロバイダサービスを提供しているSo-netサービス自体のレスポンスが悪化しているのだろう.


AWS Tokyoリージョンのサイトとの間のpingレスポンスではNuro光の方が FLET’S系の回線サービスよりも、ほんの少し(1〜2ms)レスポンスが早いようだが、オンラインゲーム命という人でも無い限りこの程度の差は単なる誤差の範囲だろう.普通にWEBページを閲覧したりWEB会議を行うだけならば、全く気付くことのない範囲だ.


Nuro光(for マンション)に関しては、同じNuro光(個別タイプ)や、FLET’S系のサービスと較べると圧倒的なコストパフォーマンスなので、自宅でサーバを立てたり、特殊な使い方をしない限り、普通のインターネット接続用途としては十分だろう.